【パブリックドメインの映画上映会のすすめ】高齢者だけでなく誰にでも楽しめる鉄板の西部劇5選 

最近はテレビでも映画が放映されることが少なくなり、西部劇に触れる機会が少なくなりました。近年ではクエンティン・タランティーノ監督の『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年)やレオナルド・ディカプリオ主演の『レヴェナント: 蘇えりし者』(2015年)などの西部劇がヒットしましたが、稀にしか作られなくなったのが実情です。若い人には馴染みの薄い映画ジャンルでしょう。しかし西部劇は、ハリウッドの全盛期を象徴する映画ジャンルであり、そこから生まれた普遍的な映画の数々は、いまも色褪せることなく輝きを失いません。今回は西部劇に馴染みのある高齢者だけでなく、老若男女問わずに楽しめるパブリックドメインの西部劇映画を厳選して5本紹介したいと思います。

『駅馬車』


言わずと知れた西部劇の最高傑作。ジョン・フォード監督と主演ジョン・ウェインの黄金コンビが初めて本格的にタッグを組んだ作品であり、本作のヒットによって、長くB級映画(二本立て興行の添え物)に甘んじていた西部劇の地位を一挙に高めることにつながりました。その後のハリウッドの西部劇全盛時代を築く発端となった記念碑的作品でもあります。しかも単なるアクション映画ではありません。監督のジョン・フォードは、娼婦や飲んだくれの医者、不倫中の貴婦人、復讐に燃える脱獄囚など、それぞれの人生を背負いながら、たまたま駅馬車に乗り合わせた人間模様を巧みに描き出し、この西部劇に普遍的な価値を与えました。

先住民族との攻防戦を描いたラストのアクションシーンは、現代の感覚からしても筆舌に尽くしがたいほどの迫力を示しています。 CGのない時代、襲撃してくる馬に乗ったアパッチ族も、ジョン・ウェインのライフルに迎撃され激しく落馬するシーンも、多くの人を乗せて全速で逃げる幌馬車の姿もすべてが実物です。いまではほとんど再現不能な映像です。極めてリアリティの高い肉薄のアクションシーンは観たものを圧倒することでしょう。老若男女、誰にでもお勧めできる西部劇の最高峰です。

制作年度:1939年 上映時間:96分
監督名:ジョン・フォード
キャスト:ジョン・ウェイン(リンゴ・キッド役)
クレア・トレヴァー(ダラス役)
トーマス・ミッチェル(ブーン医師役)

『荒野の決闘』

ジョン・フォードが第二次世界大戦での従軍(前線での撮影)の体験を経て戦後初めてメガホンをとった復帰第1作にあたります。クライマックスにアクションシーンを据えた『駅馬車』から一転、詩情豊かな人間ドラマの西部劇に仕上げているのは、彼の従軍での経験が影響を及ぼしているのかもしれません。ワイアット・アープやドク・ホリデイなど西部開拓期の有名な保安官やガンマンが出てきますが、ジョン・フォードは彼らを他の西部劇のように強い男性像の象徴ではなく、弱みや葛藤を抱える等身大の人間として描いていきます。主演は、『十二人の怒れる男』のヘンリー・フォンダ。『怒りの葡萄』、『若き日のリンカーン』など多くの作品で監督ジョン・フォードと組んできたフォンダですが、本作は彼の代表作のひとつになりました。挿入歌「いとしのクレメンタイン」は日本でも大変な評判を呼び多くの人に愛唱されました。オールドファンにとって郷愁を刺激する調べです。

制作年度:1946年 上映時間:97分
監督名:ジョン・フォード
キャスト:ヘンリー・フォンダ(ワイアット・アープ役)
リンダ・ダーネル(チワワ役)
ヴィクター・マチュア(ドク・ホリデイ役)

『シェーン』

流れ者のシェーンと少年との交流を描いた本作は、日本で最も人気の高い西部劇映画と言えるかもしれません。弱いものを助け、強いものをくじくという義侠心に満ちた主人公シェーンの姿とピュアな少年との心の交流は、多くの日本人の心を揺さぶりました。少年ジョーイが叫ぶ「シェーン、カンバック!」のセリフは日本のシニア層に最も有名な一幕となっています。監督は、『陽のあたる場所』や『ジャイアンツ』の名匠ジョージ・スティーヴンス。主演はフィルム・ノワールや西部劇で活躍したアラン・ラッド。本作で日本での人気を決定づけました。この映画のもうひとつの特徴は、愛するものを守るために一度は捨てた銃を握らなくてはいけないというガンマンの宿命を子供の無垢な視点から見つめた点にあります。
リアリティの高い暴力シーンがあるものの、少年の視点で紡がれたヒューマニズム映画ですので、情操教育にもつながります。小学生や中学生にも是非観ていただきたい作品でもあります。

制作年度:1953年 上映時間:118分
監督名:ジョージ・スティーヴンス
キャスト:
アラン・ラッド(シェーン役)
ジーン・アーサー(マリアン・スターレット役)
ブランドン・デ・ワイルデ(ジョーイ・スターレット役)

 

『真昼の決闘』

『地上より永遠に』や『ジャッカルの日』など多くの名作を世に送り出した名匠フレッド・ジンネマンが、映画の上映時間85分と劇中の時間経過がほぼ一致するという斬新な表現方法をとって描いたサスペンス映画の傑作です。結婚式を終え、保安官を引退して町を去ろうとしていた主人公のウィル。そこへ、かつて彼が逮捕した凶悪犯が正午の列車で復讐にやってくると報せが届きます。保身を優先した住民たちは、誰もこの保安官に加勢してくれません。孤立することとなった保安官は、ひとりだけで凶悪犯との対決を強いられます。ここには従来のヒーロー然とした強い保安官は登場しません。時計の針が正午に向けて一刻一刻と時を刻んでいくなか、凶悪犯との対決を前に孤立無援のなか悲壮に暮れる人間の苦悩がリアルタイムに展開していきます。
主演は、『誰がために鐘は鳴る』や『昼下りの情事』でお馴染みゲイリー・クーパー。結婚したばかりの妻役には、その後モナコ王妃となったグレイス・ケリーが務めます。この二大スターの競演も見どころの一つです。

制作年度:1952年 上映時間:85分
監督名:フレッド・ジンネマン
キャスト:ゲイリー・クーパー(ウィル・ケイン役)
グレイス・ケリー(エミィ・ケイン役)
ロイド・ブリッジス(ハーヴェイ・ペル役)

『黄色いリボン』 (1949年)

定年退職を数日後に控えた老大尉が最後の任務に向かう姿を名画のような美しい光景とともに哀惜をもって描いた西部劇の傑作です。この映画も監督ジョン・フォード、主演ジョン・ウェインのタッグによって撮られたものです。「騎兵隊三部作」のなかで唯一のカラー作品となっており、数多くのジョン・フォードの西部劇のなかでも最も美しい荒野の光景が味わえる作品です。現役を退く初老の大尉の胸のうちにある哀惜の情と、それを送り出す部下たちとの絆を、美しい映像で綴った作品です。

映画は日本でも大ヒットし、テレビ放映も何度も繰り返し放映されました。テーマソングの名曲「黄色いリボン」は多くの人に馴染みの楽曲となりました。当時40歳代前半だったジョン・ウェインが60歳の老境の大尉の孤独を演じましたが、のちにジョン・ウェインは、「自分のキャリアの中で最も気に入っている演技の一つ」と本作を語っています。

制作年度:1949年 上映時間:103分
監督名:ジョン・フォード
キャスト:
ジョン・ウェイン(ネイサン・ブリトルズ大尉役)
ジョアン・ドルー(オリヴィア・ダンドリッジ役)
ジョン・エイガー(フリント・コーヒル中尉役)

上映会のすすめ

映画上映会でお勧めできる西部劇映画の傑作の5作品を紹介してきました。いずれも傑作ぞろい、郷愁をそそられる高齢者から西部劇に馴染みの薄い若年層に至るまでお勧めできる人間ドラマを中心に据えた西部劇映画の傑作です。弊社Bunkidoでは、本作の日本語吹替版と日本語字幕版をご用意しています。ぜひこの機会に上映会を企画してみてはいかがでしょうか。上映権の料金については、お問い合わせフォームからご連絡ください。無理のない上映権料をご案内いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。