反戦映画の金字塔『西部戦線異状なし』の上映会を企画してみませんか。

今回は、反戦映画の金字塔でアカデミー作品賞と監督賞を受賞した『西部戦線異状なし』(1930年制作)をご紹介いたします。戦場のおぞましい姿を徹底したリアリティによって描写したこの映画は、反戦映画としていまなお色褪せることがありません。戦争について改めて深く考える機会を与えてくれるこの映画の上映会は意義のあるものとなるでしょう。この機会に上映会を検討してみてはいかがでしょうか。

リアリティを徹底追求した究極の反戦映画

強い愛国心に駆られ志願兵として戦場に向かった若い主人公が、陰惨な戦争の現場でその思いを踏みにじられ理想とはかけ離れた地獄を見るという物語です。
近代兵器が初めて使われた第一次世界大戦は、過去のどの戦争とも異なり、桁違いの犠牲者を生み、ヨーロッパ中に甚大な被害をもたらしましたが、それだけでなく近代兵器による陰惨極まりない破壊の様は、人間の尊厳を深く傷つけることにもつながり、戦場から生還した人々の多くが精神的な苦しみを抱えることとなり社会にも深い傷跡を残しました。この映画はこうした近代兵器が初めて使われた戦争の悲惨な姿を手加減することなく徹底したリアリティで描出しました。2,000人に及ぶエキストラと当時の最新の撮影技術で撮影されたその映像はまるでドキュメンタリーを観ているのではないかと錯覚するほどの臨場感であり現在でも強いインパクトを与えてくれます。撮影当時ロサンゼルスには、第一次世界大戦を経験したドイツの退役軍人が多く住んでいました。リアルな戦争場面の再現のため、彼らを技術アドバイザーとして雇ったことも類まれなリアリティが実現できた大きな要因であったようです。
塹壕戦の無惨さだけでなく、仲間の死への絶望、迫る死の恐怖などを描いた本作は、従来のヒーローものとして描かれた戦争映画とは一線を画すものであり、夢工場と言われたハリウッドにおいては明らかに異質の作品に仕上がっています。本作は、その後につくられた多くの反戦映画の源流となった映画といえるでしょう。実際スピルバーグは、『プライベート・ライアン』(1998)のインスピレーションの一部はこの映画から得たと述べています。

●上映会のご提案

戦争体験の伝承が難しくなってしまったいま、この映画に触れることは大きな意味があると感じます。上映会が増えることによって、多くの人々にこの映画に触れていただければと望みます。Bunkidoは、本作の日本語吹替版と日本語字幕版を用意しています。上映権の料金については、お問い合わせフォームよりご連絡ください。無理のない上映権料をご案内いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。