
今回は、Bunkidoが保有する2,200タイトルに及ぶ映画リストから、映画史に残るイタリア映画の巨匠たちの作品をご紹介します。イタリア映画は、フランス映画とはまた一味違う味わい深さがあり、日本でも海外でも昔から人気があります。とくに戦後は、戦前、戦中のファシズム、ナチズムの圧政に抵抗を示したネオレアリズモ映画が世界中に衝撃を与え映画史に大きな足跡を残しました。それでは1940年から1953年にかけての33タイトルの作品群のなかから作家別にご紹介していきます。
ロベルト・ロッセリーニ
イタリアネオレアリズモ映画の先駆者、代表者のひとりです。戦後すぐに公開された『無防備都市』や『戦火のかなた』の二作品は重要な作品として映画史に刻まれています。まるでニュース映画を観ているかのような錯覚を与えるそのリアリティの高さは、映画界に大きな影響を与えました。とくに『無防備都市』の撮影のスタートは1944年1月、戦時中のナチス占領下で極秘に行われたことは伝説となっています。
『無防備都市』を観て衝撃を覚えた絶世の美女イングリッド・バーグマンは、ハリウッドスターという地位をかなぐり捨てて、ロッセリーニ映画に出演、その後ロッセリーニと結婚することになりました。
世界中に衝撃を与えたイタリアネオレアリズモ映画でしたが、戦後から5、6年経過するに従い復興も進むと、ロッセリーニの映画づくりも戦争を離れてより個人的なものになっていきましたが、新しい映画づくりのスタイルを模索したそうした個人的な映画は、仏のヌーヴェルヴァーグの作家たちに大きな影響を与えることになり、ネオレアリズモ以降も映画界に影響を与え続けました。
無防備都市(1945年)、戦火のかなた(1946年)、ドイツ零年(1948年)、神の道化師、フランチェスコ(1950年)、ストロンボリ/神の土地(1950年)、殺人カメラ(1952年)、ヨーロッパ一九五一年(1952年)、他四作品

ヴィットリオ・デ・シーカ
ロッセリーニと並ぶイタリアネオレアリズモ映画の巨匠です。『自転車泥棒』や『靴磨き』、『終着駅』などの映画は戦後の日本でも大変な人気を呼びました。映画はアメリカでもヒットしヴィットリオ・デ・シーカは、生涯に4つのアカデミー賞を受賞しています。デ・シーカのネオレアリズモ時代の特筆すべき映画づくりは、型にはまった演技を嫌いプロの俳優を一切使わず、映画とも演劇とも無関係の素人たちだけを使って映画づくりをしたことにあります。市井の人々を映画俳優として起用したことの効果は絶大で、映画はまるでドキュメンタリー映画のようなリアリティを示すことになり、敗戦後の苦しい時代の人々の生活を活写しました。その常識やぶりの映画づくりは、まさに変革ともいえるもので、その後多くの映画作家たちに多大な影響を与えることになりました。
靴みがき(1946年)、自転車泥棒(1948年)、ウンベルトD(1951年)、ミラノの奇蹟(1951年)、終着駅(1953年/米伊)、他4作品

ミケランジェロ・アントニオーニ
1950年代初めに映画作家としてデビューしたミケランジェロ・アントニオーニは、ネオレアリズモが歴史的役割を終えた60年代以降、『情事』や『太陽はひとりぼっち』、『赤い砂漠』、『欲望』、『さすらい』など多くの問題作を世に問うた巨匠です。Bunkidoではアントニオーニのデビュー作である『愛と殺意』をはじめ最初期の作品を扱っています。いずれの作品もネオレアリズモとは異なり、中流階級を舞台に社会的な疎外感を描いた佳作揃いとなっています。
愛と殺意(1950年)、敗北者たち(1953年)、椿なきシニョーラ(1953年)

フェデリコ・フェリーニ
ご存知『道』や『甘い生活』などで知られるイタリアを代表する巨匠であり、彼の唯一無二の夢幻的な世界観は、世界中の映画ファンをいまも虜にしています。Bunkidoでは彼のデビュー作である『白い酋長』などの初期の作品と彼の代表作のひとつである『道』を用意しております。『白い酋長』はデビュー作であるものの、60年代中盤に花開いたフェリーニの世界観の萌芽を認めることができる可愛らしい作品です。妻のジュリエッタ・マシーナもその後のフェリーニ作品で確立したイメージのままに出演しています。『青春群像』は、フェリーニが世界から作家として注目を集めることになった重要作で新しい世代のイタリアの若者たちを活写しています。貧しい旅芸人を描いた『道』は、世界中の映画ファンを夢中にさせた神話的な映画であり、フェリーニはこの映画で世界を代表する作家となりました。また無垢で、慈愛深く、可愛らしく、ユーモラスなこの主人公を見事に演じた妻のジュリエッタ・マシーナも世界的スターになりました。
『白い酋長』(1952年)、青春群像(1953年)、道(1954年)

ご紹介したイタリアを代表する4人の作家の名作群は、東京以外の地方では上映される機会が少ないのが現状です。多くの方々にこれらの映画芸術に触れる機会が増えることを期待したいと思います。この機会にぜひ、上映会の企画を立てていただければ、と思います。上映権の料金については、お問い合わせフォームよりご連絡ください。無理のない上映権料をご案内いたします。
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