高齢者向け上映会の”鉄板”5作品のご紹介

近年、高齢者向けに映画上映会への関心が高まり、主催者側からも「企画したい」という声が多く聞かれます。老人ホームや介護施設はもちろん、公民館や地域ケアプラザ、自治体の高齢者向けサービスなど、様々な場所での上映の機会が検討されているようです。しかし一方で実際にどのような映画をピックアップすれば良いのかと頭を悩ませている担当者様も多いように感じています。ネットで調べると80年代のテレビ番組や映画、歌謡番組などをピックアップしている介護施設があるようですが、80歳近くの高齢者にとってはやはり自分が若かった頃の映画と接するほうが喜びは高まります。

そこで今回は、高齢者向けの上映会においてお勧めできる洋画の名作5選を紹介したいと思います。いずれも人気が高く、誰にでも楽しめる映画ですので、高齢者のどなたをも満足させることのできる映画だと太鼓判が押せます。

①『ローマの休日』(Roman Holiday)

洋画の名作数々あれど日本で最も人気の高いのが本作ではないでしょうか。ヘップバーンの初主演作品であり、アン王女扮するヘップバーンの清楚で可愛らしく無垢なキャラクターは映画ファンの心を掴んで離しません。特に女性の高齢者にとって本作のヘップバーンは魅力の象徴でもあります。ユーモアあふれるロマンティックなストーリーは世代や性別を問わず楽しめる作品です。お相手役のグレゴリー・ペックとのちょっぴりビターな恋愛劇は、高齢者に“若い頃に戻ったときのような心地よい感情”を呼び覚ますことにもつながるでしょう。日本での公開は昭和28年、異例のロングランとなりました。その後もリバイバル公開が幾度も行なわれた超人気作です。

1953年 米国 モノクロ作品 上映時間:約118分

●キャスト:オードリー・ヘップバーン(アン王女)、グレゴリー・ペック(ジョー・ブラッドリー)、エディ・アルバートほか
●制作スタッフ:監督/製作=ウィリアム・ワイラー、脚本ダルトン・トランボ/ジョン・ディントン、撮影アンリ・アレカン・フランツ・プラナー、音楽ヴィクター・ヤングほか

 

②『風とともに去りぬ』(Gone with the Wind


言わずとしれた不朽の名作。南北戦争期のアメリカ南部を舞台にした壮大なスケールで描かれた大河ドラマでありヴィヴィアン・リー扮するスカーレット・オハラを主軸に、歴史に翻弄される人々の人生と愛を描いた人間ドラマでもあります。アカデミー賞では、作品賞・監督賞・主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)・助演女優賞・脚色賞など、史上最多の10部門を受賞することになりました。日本で初めてテレビ放映されたのは1976年。視聴率は30パーセントを超える高視聴率を記録しました。上映時間が3時間41分と長いので高齢者の方々が対象であれば、二回や三回に分けて上映する仕方もお勧めです。

1939年 米国 カラー作品 上映時間:約221分(約3時間41分)

●キャスト:クラーク・ゲーブル(レット・バトラー)、ヴィヴィアン・リー(スカーレット・オハラ)、レイ・ミランド、オリヴィア・デ・ハヴィランド 他
●スタッフ:監督ビクター・フレミング、製作デヴィッド・O・セルズニック、脚本シドニー・ハワード他、撮影アンセル・アダムスほか

③『カサブランカ』(Casablanca

 

絶世の美女イングリッド・バーグマンと映画界で最もダンディな男と言われたハンフリー・ボガードが演じるラブロマンス映画の代表格。第16回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚色賞の主要三部門を受賞しています。ボガードの名台詞「君の瞳に乾杯」もつとに有名。主演ふたりの圧倒的な存在感と葛藤を余儀なくされる大人の恋愛劇は高齢者の心に余韻深く刺さることでしょう。

1942年 米国 モノクロ作品 上映時間:約102分

●キャスト:ハンフリー・ボガート(リック・ブレイン)、イングリッド・バーグマン(イルザ・ラント)、ポール・ヘンリード、クロード・レインズほか
●制作スタッフ:監督マイケル・カーティス、脚本(ハワード・コッチ/ジョン・マスターズら)、撮影アーサー・E・エデンズ、音楽マックス・スタイナー

 

④『第三の男』(The Third Man

劇中に流れるテーマソングは誰でもが耳にしたことがあるでしょう。その哀調あふれる調べをもとに戦後のオーストリア、ウィーンを舞台にスリリング溢れる物語が展開します。格調高いウィーンの風景と巧みなストーリー展開、重厚な人間ドラマ、そして何より謎の人物ハリー・ライム扮するオーソン・ウェルズの圧倒的な存在感に多くの映画ファンが虜になりました。カンヌ映画祭ではグランプリを受賞。映画ファン必見の哀感溢れるラストシーンは、高齢者の誰をもが胸を打たれることでしょう。

1949年 イギリス  モノクロ作品 上映時間:約104分

●キャスト:ジョセフ・コットン(ホリー・マーティンス)、オーソン・ウェルズ(ハリー・ライム)、アリダ・ヴァリほか
●制作スタッフ:監督キャロル・リード、脚本グレアム・グリーン、撮影ロバート・クライスラー、音楽アントン・カラス

 

⑤『黄色いリボン』(She Wore a Yellow Ribbon

西部劇映画の代表格のひとつで、テレビでも幾度も放映された人気作品。主演は言わずと知れた名優ジョン・ウェイン。監督は名匠ジョン・フォード。高齢者にとってはおなじみの二人が組んだ西部劇ですが、本作は、ガンファイトよりも人間ドラマにフォーカスした物語でラストシーンも温かい感触をもたらしますので、男性に限らず女性にも楽しめる映画となっています。テーマソングも大ヒットしました。いままで紹介してきて4作品は若い世代を主役とした物語でしたが、こちらは退役予定の軍人の最後の任務を描いた物語ですので、現役を退いた高齢者にとっては感慨深く心に染みることになるでしょう。

1949年 米国 カラー作品 上映時間:約103分

●キャスト:ジョン・ウェイン(ナサニエル・ブリトルズ大尉)、ジョアン・ドリュー、ジョン・アガー、ベン・ジョンソン、ハリー・キャリー・Jr. ほか
●制作スタッフ:監督ジョン・フォード、脚本フランク・N・ニュージェント/ローレンス・スタリングス、撮影ウィントン・C・ホック、音楽リチャード・ヘイマン

上映の際は、著作権違反にご注意ください。

ご紹介いたしました5作品は、いずれも日本において著作権の切れたパブリック・ドメインの作品ですが、DVDを利用した上映の場合は、DVD自体に対する著作権(日本語吹き替えや日本語字幕など)が派生しますので上映権の取得が必要になります。`Bunkidoでは、上記のいずれの映画も様々な上映形態に対応できるよう、日本語吹替版および日本語字幕版をご用意しております。上映権料についても、上映規模に応じて現実的な上映権料をご案内いたします。お問い合わせフォームよりご連絡ください。ぜひこの機会に高齢者向けの名作洋画の上映会をご検討ください。