今回は、西部劇の名作で、日本で最も人気の高い西部劇の一つであった『シェーン』(1953年制作)をご紹介いたします。流れ者のシェーンと少年の友情と主人公の正義感を貫く姿を描いたこの映画は、日本人の心に強く響きました。特別に人気が高いため何度もテレビ放映されていましたので高齢者だけでなく多くの方に馴染みの深い名画でもありますので、上映会を望む声も多いかと思います。ぜひこの機会に上映会を企画してみては如何でしょうか。
●日本人の心を鷲づかみにした西部劇の名作
流れ者の拳銃使いシェーンが、水を飲ませてもらうために小さな開拓農家を訪れるところから物語が始まります。やがてシェーンは、この静かな農家の仕事を手伝うことになります。次第に夫婦から信頼を得、親交を深めていきました。また一家の一人息子ジョーイからも慕われ心を通わせるようになっていきます。しかし、この小さな農家は、大牧場主から力ずくで土地の引き渡しを迫られていることを知ります。大牧場主からの嫌がらせは苛烈になり暴力的行為にまで及ぶようになります。家族の力になりたいと思うシェーンでしたが、過去に招いた暴力的な行為への悔恨から銃を抜くことに躊躇いがあり岐路に立たされることになります。
弱気を助け、強気を挫くという義侠心に満ちた主人公シェーンの姿は、多くの日本人の心を強く揺さぶりました。口数の少ない主人公の孤高な姿は、日本人が長く馴染んできた股旅ものや高倉健が演じてきた寡黙なヒーロー像にも通じるものであります。
映画監督は、『陽のあたる場所』(1952年)や『ジャイアンツ』(1956年)など多くの名作を生んできたジョージ・スティーヴンス。スティーヴンスは、正義と暴力の葛藤を描いたこの物語に少年の視点を加えたことでこの物語に普遍性を付与したといわれています。
主演は『拳銃貸します』(1941年)でスターダムにのしあがった美男のアラン・ラッド。敵役には、『攻撃』、『プロフェッショナル』などアクの強い個性的な相貌と演技で世界的にも有名なジャック・パランスが演じています。撮影時のエピソードですが、ラッドは、拳銃が嫌いで拳銃使いも苦手にしていました。少年ジョーイにガンさばきを見せる有名なシーンがありますが、そのカットはなんと116回も撮り直されたということです。一方のジャック・パランスも屈強なイメージとは異なり、馬の乗り降りが大の苦手、再三にわたり撮り直されたと伝わっています。
少年ジョーイ役は、ブランドン・デ・ワイルドです。この映画を観た人なら純真な少年ジョーイを演じたこの俳優のその後が気になるところです。ワイルドはこの映画のあともテレビや映画に積極的に出演していました。しかし1972年、舞台出演のためデンバーに滞在中、不慮の交通事故に遭い残念ながら30歳で帰らぬ人になったということです。
日本で格別に人気の高い本作ですが、当然アメリカ本国でも大ヒット、作品自体も高く評価され、アカデミー賞5部門にノミネートされ撮影賞を受賞しています。
●子どもたちにも是非観てほしい作品
本作には激しい暴力シーンがあるものの、「正義とは何か」、「暴力の代償とは何か」を深く考えるきっかけを与えてくれます。しかも少年の視点、少年の価値観をもって描かれているため、子どもの心に深く刺さることでしょう。親子で一緒に鑑賞をお勧めしたい作品でもあります。
当Bunkidoでは、本作の日本語吹替版と日本語字幕版をご用意しております。上映権の料金については、お問い合わせフォームからご連絡ください。無理のない上映権料をご案内いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。


