誰でも楽しめるジーン・ケリー主演の珠玉のミュージカル映画二選

今回はハリウッド全盛時のミュージカル映画の鉄板と言えるジーン・ケリー主演の二大ミュージカル映画を紹介したいと思います。以前ご紹介した西部劇と同様にミュージカル映画も1940年代~50年代のハリウッド全盛期が終焉したあと、少しずつ作られなくなりました。1980年代から2000年代はミュージカル映画の冬の時代となり、アニメ映画などはあったものの僅かしか制作されることがなく、当然メインストリームでヒットする映画は生まれませんでした。
しかし2010年以降になると、状況は少しずつ変わり始めます。公開本数は決して多くはありませんが、再びミュージカルの話題作が現れるようになったのです。ミュージカル映画としてアカデミー監督賞に輝いた『ラ・ラ・ランド』(2016)やヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイら豪華キャストが口パクではなく生録音に挑んだ『レ・ミゼラブル』(2012)を記憶している人も多いことでしょう。またスピルバーグ監督によってリメイクされた『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021)も話題を呼びました。ここにきて少しずつミュージカル映画が見直されるようになってきています。

今回はこれらのミュージカル映画の源泉であるハリウッド黄金時代のミュージカル映画のすばらしさを堪能できるジーン・ケリー主演の二大ミュージカル映画を紹介したいと思います。ジーン・ケリーは、アステアと同様にミュージカルに革命をもたらしたミュージカル界の神様であり、ダンサー、アクター、歌手、振付師、映画監督と多彩な才能をもつ不世出のスターです。エネルギッシュでスポーティーな彼のダンスはハリウッドのミュージカル界に大きな旋風を巻き起こしました。

『巴里のアメリカ人』

アカデミー賞作品賞を含む主要6部門を独占したハリウッド全盛期を代表するミュージカル映画の一大傑作


画家を目指すアメリカ人と巴里娘との恋の行方を描いた作品です。巴里の街中や多彩に移り変わっていく夢の世界を巧みに表現したセット美術と卓抜したカメラワーク、米国音楽の父ジョージ・ガーシュウィンによる名曲の数々、クラシックバレエを大胆に取り込んだ圧巻のダンスと、総合芸術の粋を極めた意欲作で当時の映画ファンを圧倒しました。アカデミー賞では作品賞をはじめ主要6部門を受賞、この映画の登場でミュージカル映画は単なるエンターテイメントから芸術の一形態になったと評価されるようになりました。主演はミュージカル映画界を代表する大スター、ジーン・ケリー。相手役は、レスリー・キャロン。
圧巻は、ラストのダンスシーン。主人公の抱く巴里娘への狂おしい想いが夢想していく様をセリフなしの17分のダンスシーンで表現しています。またラストのダンスシーン以外にも、ガラスや鏡の反射を巧みに活かした優美なダンスシーンや、王宮を思わせる荘厳なセットのもとでの華麗なダンスシーン、ジーン・ケリーが子どもたちに囲まれながら繰り広げる巧みなタップダンスのシーン、本物のバレエダンサーであるヒロインのレスリー・キャロンが繰り広げる本格的ダンスシーンなど、見どころが満載です。ミュージカル映画の醍醐味を知っていただくには最高の一作であり、さらにラブロマンスとしても楽しむことのできる一作です。

『雨に唄えば』

笑いと涙と高揚感!「最高に幸せな映画体験」を約束するミュージカル映画の最高峰

主役ジーン・ケリーが、土砂降りの雨の中を傘を振り回し、水たまりを跳ねながら踊る姿を観たことのある人も多いでしょう。映像を観たことがなくても、胸躍る楽曲”Singin’ in the Rain”は一度は耳にしたことがあるはずです。このシーンは、ハリウッド映画史上最も有名なシーンのひとつと言われています。映画はまさにあの多幸感溢れるイメージそのもので、老若男女、誰にでも鑑賞をお勧めできる映画であり、ミュージカル映画全盛期の最高傑作と誉れ高い作品です。
主演は、前述で紹介した『巴里のアメリカ人』の天才ジーン・ケリー。彼の代表作であり最高傑作でもあります。彼は俳優だけでなくこの映画の監督も担当しました。ただし自分が出演するためにすべてをコントロールするのが難しいため、後輩でもあり、のちに『略奪された七人の花嫁』を監督することになる若き俊才スタンリー・ドーネンと共同監督を務めました。ジーン・ケリーは演技とダンスシーンの演出を担当、ドーネンはカメラワークや編集を中心に映像美を追求しました。世界で最も有名なシーンと言われる”Singin’ in the Rain”は、この二人の類まれな才能の結晶だと言えるでしょう。

しかし引退は長く続きませんでした。戦後ミュージカル映画の一大ブームをけん引したMGMと契約を結び、『イースター・パレード』でケガをしたジーン・ケリーの代役として主役を務め、復活を遂げます。そしてこの映画の大ヒットで再び頂点に上り詰めることになりました。落ち目の映画スターが舞台に挑戦するというアステアの役柄は、当時50代を迎えていたアステアの数年前の姿を彷彿させる役柄です。その役柄どおりにアステアはこの映画で大絶賛を受け、再び頂点を極めることになったのです。
映画の魅力をお伝えするためには、相手役のシド・チャリシーにも触れておきたいとおもいます。シド・チャリシーの出自はプロバレリーナでした。お人形のような可憐な相貌とは対照的に、チャリシーは他のダンサーを圧倒する力感溢れるダンスを披露します。アステアはシド・チャリシーを「ハリウッド史上最高のダンサー」と称賛を惜しみませんでした。希代のダンサーであるアステアとシド・チャリシーの二人のダンスが堪能できる点もこの映画の大きな魅力の一つでしょう。高揚感溢れる名曲”That’s Entertainment!”とともに文句なしに楽しめる映画です。

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誰もが楽しめるジーン・ケリー主演の珠玉のミュージカル映画をご紹介しました。ハリウッド黄金時代の豪華絢爛なミュージカル映画は唯一無二の輝きを放ちます。是非この機会に鑑賞いただきたいと思いますが、Bunkidoでは、今回紹介したパブリックドメインの映画の上映権を販売しております。それぞれに日本語吹き替え版と日本語字幕版をご用意しておりますので、上映会の企画を検討したいという方は、お問い合わせフォームからご連絡いただければと思います。多くの方にハリウッド黄金期のミュージカル映画の魅力を感じていただきたいと思います。