『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ役で一世を風靡したヴィヴィアン・リーが翌年に出演した恋愛悲劇の傑作『哀愁』をご紹介します。Bunkidoでは、様々な上映形態に対応できるよう、本作の日本語吹替版および日本語字幕版をご用意しております。この機会にぜひ上映会の企画をご検討いただければと思います。
繊細なヴィヴィアン・リーの演技が光る恋愛劇の傑作
第一次世界大戦下のロンドン、ヴィヴィアン・リー扮するバレリーナのマイラは、若き英国将校との偶然の出会いから恋に落ちます。しかし忍び寄る戦争の影と運命のいたずらにより二人は翻弄され、二人の純粋な愛は厳しい試練へとさらされます。
監督は、『若草物語』や『ミスター・ロバーツ』のマーヴィン・ルロイ。手堅い演出で定評のあるルロイによって精妙に描かれたこの悲話は観る者の心に強く響く傑作となり、アカデミー賞でも二部門にノミネートされました。当初は、撮影の前年にようやく結婚をはたした夫である名優ローレンス・オリビエと共演する予定でありヴィヴィアン・リーはそれを強く望んでいましたが、デヴィッド・O・セルズニックの判断により、結局MGMの看板スターであったロバート・テイラーに差し替えられることになり、ローレンス・オリビエは同じ時期に同じMGM制作の『高慢と偏見』に出演することになりました。
本作の日本公開は、米国公開から戦争を挟んで九年を経てのことでしたが、大きなヒットとなり、その後日本で多く制作される戦争メロドラマに多大な影響を与えたと言われています。またテレビでも数度にわたって放送されており根強い人気を誇っています。
『風と共に去りぬ』では運命を切り開く気丈な女性を演じていたヴィヴィアン・リーでしたが、この映画では一転、運命に翻弄されるか弱く心優しい女性を演じました。多くの名作に出演し数多くの賞を受賞しているヴィヴィアン・リーですが、後にこの映画をとくに思い入れのある作品の一つとして挙げています。ヴィヴィアン・リーの半生は、華麗な成功のうらで長く精神疾患との闘いを余儀なくされてきました。この映画の主役像は、そうしたヴィヴィアン・リー自身が抱えていた脆く壊れやすい内面と共鳴していたのかもしれません。
●上映会のご提案
格調高く悲哀に満ちた恋愛物語『哀愁』は観る人の心に強く響く作品です。また高齢者の方にも懐かしくご覧いただける映画です。この機会に上映会の企画を立ててみてはいかがでしょうか。上映権の料金については、お問い合わせフォームよりご連絡ください。上映規模に応じて、無理のない上映権料をご案内差し上げます。まずはお気軽にお問い合わせください。
スタッフ:
監督 マーヴィン・ルロイ
原作 ロバート・E・シャーウッド『Waterloo Bridge』
脚本 S・N・バーマン/ハンス・ラモー/ジョージ・フローシェル
配役:
ヴィヴィアン・リー(マイラ・レスター)
ロバート・テイラー(ロイ・クローニン)
ルシル・ワトソン(マーガレット・クローニン)